アグレッシブ烈子 シーズン5感想 後編

アグレッシブ烈子 シーズン5、5~10話の「烈子選挙出馬編」感想を書き綴っていきます。

もうすぐ統一地方選挙が始まりますね。みんな!!選挙へ行こう!!!!

 スーパーで働き始めたハイ田。なんだか色々と吹っ切れたいい表情をしているようにも見えた。

 そして職場での同僚との自然に雑談に入ってくるトン部長「ちゃんと選挙行ってるか?」

 まさかこの一言が、烈子の職場やアイドル時代の関係者を巻き込んだトンでもない (豚だけに) 大嵐を呼ぶこといなるとはこの時点では誰も知る由もないのであった……

 そしてみんな大好き只野くん!柿が好きな只野くん!!今シーズンも出てきてくれてありがとう!!!只野くん嫌いな女性いる?いねーよな!!

ハイ田がちゃんと只野くんに弱味を見せれるようになってるのもいいなぁと思った。そしてハイ田のコードを見てあげたり、適当に励ますんじゃなくて具体的にいいところを褒めて「いけるよ」って言ってくれるの、素敵すぎる。普通にこういう友人が欲しい。

 漫画喫茶に興奮する只野くんもイイ (もうそれしか言えない)。「新劇の故人」はわろた。

 今作の重要キャラクターシカバネちゃんは相変わらず……「諦めてる感じがする。全部諦めることで逆に満たされてる。これでいいって思ってる」わかるなぁ諦めることで怒りも悲しみも感じなくなるもんねぇ一種の防衛反応か……

 そんな中、何も知らない烈子はハイ田の実家へ。門構えは完全にヤ●ザのそれ。「日光江戸村…?」わろた。

 衆議院総選挙の告示。いよいよ後半の本題へ。

ネットカフェに集まる連中を碌でもないと切り捨てる父親。それは偏見だと言い切るハイ田。

賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、と言うけども、今のハイ田は愚かであろうとも、自分で見て得てきたものを以て親父に歯向かっていて、ボンボンの息子が何言ってんだと心のどこかでは思う一方シカバネちゃんのような立場になったらこういうことを言ってくれる人がいることで1ミリでも救われる人がいるかもしれないなとも感じた。

「努力を重ねたものはそもそもそういう環境に陥ることはない」「女に養われているような奴が、一丁前なこと抜かすな」

その後は聞くに耐えないセリフがバンバン飛び出す。多分誰しもがどこかで聞いたことのあるセリフ。私もシカバネのように諦めて、はいはいそうですね、と流したことはなかったか。

「私はもう、そんなつまんないことで怒りたくない。喚いて、溜飲下げて、勝ったような気分になって、問題を先送りするみたいなくだらない怒り方は、もうしたくないの」

 烈子、強い。人間 (?) として、めちゃくちゃ尊敬できる。レスバって結局はいい負かしたその場だけ気持ちいのであって、何かを変えたことにはならないからね。ちゃんと行動しようとするの、かっこいい。

 そして手切れ金を渡すジロウ……サンリオのキャラデザでやってるから見てられるけど人間のドラマだったら続きはもう見たくないレベルのグロさ。

 衆議院議員怒りの党党首 井狩とアイドル時代の同僚に拉致されステージに上がらされる烈子は、周りに流され出馬する雰囲気になってしまう。

 一方、親の期待を背負い焦るジロウ、どうにもならない生活を送る人たちの優しさに気づき政治とは誰のためのものなのかに気づき始めるハイ田。この二人が対照的で、すごく良かった。

「老人が老人を選んで、老人のために物事を決める社会だ。中略〜俺たちはいないことにされてる。この状況を変えたい。でもそんなの無理だ。俺たちはバラバラだから。」「一人一人声かけてひっぱり出すしかない。無理だけど、烈子の声なら届く」

…………選挙行こう!!みんな!!!少なくともこのアニメを見た人は全員行ってくれ!!!!

「10数えたら、私は何にだってなれる」

 シーズン1から使っているこのセリフ。もう胸が熱くなって仕方がなかった。小選挙区での出馬。東京8区、ハイ田弟とのガチンコ勝負。烈子、がんばれ!!

 出馬を全面的に応援してくれる職場のみんな、いつの間にか駅前の漫喫を買い取っていてそれを選挙事務所にと貸してくれる只野くん。もうみんな大好き。

 一方久々にシカバネと会うハイ田は「自由」について考える。

「愛想笑いしなくて分、こっちにいたほうが楽。健やかなる生活ってむしろこっちの方にあるんじゃない?」

 ぐさっとくる言葉……社会からの目とか体裁とかで何となく会社員やってて、理不尽なことがあっても嫌なこと言われても何となく流している毎日。貯金は増えても心身ともにすり減っていく一方で、私にこの言葉は効きすぎる……

 そして供託金に使うお金貸してくれるゴリ部長、鷲見さん。泣ける。こんな先輩になりたい。「マブダチでしょ?」こんなにかっこいい言い方ある?

 最終話のタイトルは「怒りの向こう側」

 真面目な演説でイマイチ乗れない烈子に、声をかけるトン部長。

「一体何にビビってる?〜中略〜前に会社の飲み会でむかついたクソ上司に楯突いたことあったろ。あん時の感覚を思い出せ。それができりゃ、お前の怒りは届く。負けて当たり前の勝負だ!思いっきり吠えてこい!」

 あ〜あの飲み会の伏線回収がここでくるなんて……(泣)

「こちら側のどこからでも切れます」が切れない問題、「ネット配信のスタッフロールの時間ぶった斬って見たくもない別作品お勧めしてくんの、何なの?」と日常のちょっとした怒りを取り上げる烈子。ネトフリさん見てる??

 そして烈子、覚醒。OTM girlsのライブ。怒りを口に出すようになる若者。

 選挙演説が大成功に終わりいい雰囲気の最中、後片付けをするハイ田をトラックが直撃する。呆然となる烈子。けれどもここで止まってはいけない。這いつくばっても、ボロボロでも、届けるには、走り続けるしかない。

「さぁ行こうぜ、俺が一緒に死んでやる」

ハイ田、最高のプロポーズ!!

 選挙最終日の最後の演説。烈子の熱気に当てられ「老害駆逐法案」を命をかけて通すと宣言するジロウ。ほんとバカ (いい意味で)。

 遠くから見守る只野くんとゴリ部長、鷲見さん。「推しがメジャーデビューすると拗ねるタイプのファンですか?」的確すぎる。「れっちゃんはすごいです」シンプルな言葉がいちばん響くね。

 最後はシカバネとカラオケであいまみえる烈子。ゴリ部長と鷲見さんにしてもらったように、若者にお節介をする烈子。こうやって繋がっていくんだな。まずはできるところから、身近なところから始める烈子、街頭演説なしでゴミ拾いをして市議選に当選した女性の方に通じつものを感じた。

「困っちゃうよね。気持ちなんて、他人に押し付ける以外使い道ないんだから」

「…だるい」

 そう言ってマイクをとるシカバネ。ここで脳内にフラッシュバックするシーズン1の5話「デスバレ」。この話の概要には、『本当の自分を出すことができず、独りで過ごしてきた烈子だったが、強引にカラオケに連れ込むゴリ部長と鷲美のおかげで、一変する』とあった。

 このカラオケでの邂逅が、全部を諦めていたシカバネちゃんの記憶に残る、苦々しくも忘れられないものになるだろうなと感じさせる場面だった。

 物語はクライマックスへ。東京8区の投票率75%超え、勝者はジロウ。選挙の結果に涙する同僚たち。

「当選おめでとうございます」言われた時のジロウの顔、味わいがあるw

 エピローグは烈子家の家族写真に映るハイ田、家を探すシカバネ。いつも通りの満員電車で通勤し、足を踏まれて眉間に皺を寄せる烈子。

 そして流れる最後のセリフ。

「暗闇に生まれ落ちた命が、世界という壁に衝突して生まれるかすかな火花。私たちはそれを、怒りと呼んでいる」

 人は真っ赤な顔でオギャアと泣き声をあげて、この世に生まれ落ちる。

”怒り”という感情は、その瞬間から私たちの中にあるのかもしれない。大人になっていく中でなんとなく諦めることを覚えるその感情を、ずっとずっと大事にしていきたいとこの作品を見て思った。

 自分を奮い立たせる時、例えば大事なプレゼンの前や転職活動の最終面接の時、私は今後、心の中でこれを唱えるだろう。

「10数えたら、私は何になだってなれる」 

 スタッフロールが流れる途中、別作品の広告を流すNetflix。最後まで完璧な伏線回収、どうもありがとう。

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