購入日は2015年の冬でした。約8年の積読期間を経てようやく日の目を見ることに。『SFミステリー 小説 おすすめ』で検索すると絶対に登場する一冊なのでいつかは読まないとな……と思っていたそのいつかが2023年末にやっと訪れました。いやぁおもしろかった〜!読み終わってすぐ本屋に走り次作を購入するくらいにはハマりました。
私が読んだのは2015年に出た95版(!)(この数字もすごい)らしいんですけど、フォントが若干古臭い・天地の余白に差がありすぎ・英→日に訳された年代の影響か、日本語の言い回しに違和感があるので最初の半分は正直かなり読みにくかったです。なんか高校英語の英→日訳問題を読まされてる気分になるんですよね。プロローグの「彼はあたかも何らかの意思の力によって、無意識と意識の隔たりを埋める容赦ない時の流れを押し留め、極限の消耗の苦痛とはいっさい縁のない無窮の非存在に立ち帰ろうとするかのようであった」の一文とか、理解するのに30分くらいかかった。正直今読み返してもよく分からん。普通に「しんどすぎて今すぐ死にそう」くらいじゃダメなんか?
そんな感じのプロローグだったので、読み始めた時は「あぁーこの本あんまり物語に没入できないかもなー」って感じだったんですけど、ここから坂を転げ落ちるようにのめり込んでいく。宇宙とか科学的が好きで本屋に行ったらとりあえずNewtonを立ち読みする、みたいな人は絶対好きだと思います。太陽系や宇宙人、人類はどう生まれたのか、戦争、科学、そんなものが一本のストーリーの中で複雑に、しかし無駄な情報が一切なく緻密に織り込まれています。読み終わった今でも50年近く前に執筆された作品だとは思えない。唯一そう思わせてくれるのは、作中の登場人物が会議室やら飛行機の中でスパスパ煙草を吸ってるくらいですかね。この時代にリモート会議やら自動運転やらの説明が出てくるのがすごすぎる。そんで全然違和感ないし。
また個人的にバディものをこよなく愛する私としてはイギリス人ハント氏とアメリカ人ダンチェッカー教授のコンビがツボでした。最初は険悪だった二人がそれぞれの能力を用いて月で見つかった5万年前の死体の謎を解いていく、ラスト30ページは息を止めて夢中で読みました。もう一回記憶消して読み直したいくらい、SFとしての完成度も、ミステリーとしての謎回収も最高だった! J・P・ホーガン氏の本もっと読みたいな〜と思ったけど、2010年に亡くなっているんですね。『星を継ぐもの』がすでに50年近く前の作品だから、相当お年だろうとは思っていたけど、好きになった作家の新作が読めないっていうのは悲しいね〜〜。
『星を継ぐもの』を読んで初めて知ったのですが、こういうジャンルの本はSFの中でも『ハードSF』と分類されるらしいです。作品の設定が科学的な合理性を重視しているものの分類ということで、そのあたりのことを生業としていた時期もあったので今読んだからこそおもしろいと感じたのかなと思います。8年間も寝かせておいて本には申し訳なかったけど、なんか自分の人生の伏線回収(?)的な感じがしました。