綾辻行人「十角館の殺人」感想

島田=鹿谷だった…!

本編の感想から逸脱するのですが、「十角館の殺人」を読む前に「暗黒館の殺人」を先に読んでいました。暗黒館の方ではあまり鹿屋さんが出てこないため、十角館の方で島田さんが出てきても、なんか鹿谷さんと似たキャラ出てきたな、程度で気にも留めていなかったのですが、読了後にWikipediaの登場人物紹介ページを見て「そういうことか!」と納得しました。館シリーズをちゃんと読んでいる方には当たり前のことかと思うのですが、個人的ななるほどポイントでした。

島田=鹿谷と明らかになるストーリーは別の館シリーズで踏み込んで説明される感じですかね?別作品も手元にあるので、この辺り判明次第また書き残しておきたいと思います。

ヴァンのその後はどうなったのか?

ヴァンこと守須は犯行の計画の内容を記したものをビンに入れ、海へ流しました。エピローグでこれが手元に帰ってきた際、近くにいた子供に渡し、守須の犯行に勘づいていた島田に渡すよう言います。物語はここで幕を閉じ、ヴァンのその後までは語られていません。

「暗黒館の殺人」冒頭では、十角館で起こった事件について「角島十角館、炎上。~中略~全員死亡。島に渡った学生館は皆、江南の知り合いであった。彼らの全員が死亡したというその知らせを受けたあの時の驚愕と茫然自失感は、もちろん今でも忘れることができないのだが…。」というふうに語られています。

館シリーズで読者を導く役の江南ですが、事件が起きた際の相談役を守須にしていたり、サークル時代は飲み会を一緒に抜け出す描写があったりと、仲がいい印象でした。一方角島での事件後、守須が全く登場せず江南の口から語られることもなくなるので、二人の仲はどうなっちゃったの…?と要らん心配をしてしまいます。

個人的には守須くんには別作品でも登場してもらいたかったですね。島田につぐ江南サポーターとして安楽椅子探偵を気取って事件解決に向けたアドバイスをしてほしかったです。

エラリイほんとに死んでしまったん…?

これは完全に願望だったのですが、エラリイだけは生き残ってほしかった…最後までヴァンの犯行であると気づいていると思っていました。

しかしながら飲み食いの際に特に疑うこともなく真っ先に手をつけていたり等、エラリイの落ち度を示す死亡フラグも散りばめられていたり、よく考えたらエラリイも迂闊なタイプだなと納得もしました。

法学部でミステリ研究会のエース、指のほっそりしたイケメン (脳内補完あり) ということで同じようにガッカリされた方も多いのではないでしょうか。あとコミカライズ版のエラリイもイケメンに描かれていて大変よかったです。

「暗黒館の殺人」浦登家について

これまた十角館の感想から逸脱するのですが、「暗黒館」の方で気になった点。

館の当主となっている浦登家ですが、これは作中でも言及のあるように、ドラキュラ公こと「ヴラド・ツェペシュ」をオマージュした命名ですよね。

全く別作品になるのですが、綾辻先生の奥方小野不由美先生著の「ゴーストハントシリーズ 鮮血の迷宮」でもヴラド・ツェペシュをモチーフにした「浦戸」というキャラクターが出てくるんですね。

漢字表記は違うものの、夫婦間でお互いの作品に対するリスペクト的なものを感じられて、両作家ファン的にはグッと来たポイントでした。

「十角館」の事件の真相を明らかにする例の一言も、小野先生がアイディアを出されたそうです。作品作りにあたり夫婦間でどういう会話がされているのか聞いてみたい…

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感想文初心者のために深い考察もできず文章もまとまらずでしたが、館シリーズ含め、他の推理小説のレビューもこれから書いていきたいと思います。

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